卵巣は子宮の左右に1個ずつありそれぞれ親指大の小さな臓器です。その卵巣にできる腫瘍のうち、内容物が入った袋(嚢胞)のような形をしたものを、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)と呼びます。この卵巣嚢腫はほとんどが良性で、20~30歳代の若年層に多い病気です。卵巣嚢腫の袋の中には内容物が詰まっており、いくつか種類があります。子宮内膜症による古い出血がチョコレートのようにたまった卵巣子宮内膜性嚢胞(チョコレート嚢胞)、水分がたまった漿液性嚢胞腺腫、ネバネバした粘液がたまった粘液性嚢胞腺腫、皮膚や毛髪、歯など他の部位の組織がたまった皮様嚢腫などに分類されます。ほとんどは良性ですが、固いかたまりになった部分が混じっていると、悪性の可能性もありますので注意が必要です。
どのタイプののう腫であっても大きくなるまで自覚症状はほとんどないため、ほかの病気の検査や検診で偶然に発見されることが多いです。大きくなってくると症状が現われ始め、大きくなるにつれ、下腹部が膨らんできたり、下腹部の痛み、腰痛、便秘、頻尿などの症状がみられるようになります。
巨大化がなくとも、5-8cm以上の大きさになってくると、ねじれたり(茎捻転)、破れたり(破裂)して急激な腹痛の原因となることが出てきますので、手術を考慮する必要が出てきます。捻転や破裂を起こすと卵巣が壊死する危険があるため、緊急手術が必要となります。
まず、問診の後、内診(触診)と超音波検査で診断します。必要に応じで、MRIやCTの検査、腫瘍マーカーなどさらに詳しい検査を行うこともあります。
卵巣嚢腫の種類、大きさ、年齢、これからの妊娠・出産の希望などを考慮して、医師と相談をしながら治療方針を決めていきます。
基本的に小さくて症状のない場合には定期検査で経過を観察します。サイズが大きい場合や悪性が疑われる場合は、手術による治療を相談するため、総合病院へご紹介します。
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